【伊野】輪ぬけさまと秋の大祭|椙本神社で一年をととのえる行事ガイド
いの町の中心にある椙本神社では、春・夏・秋と季節ごとに大きな行事が続きます。その中でも、地元の人が「一年の区切り」として大切にしているのが、6月30日の「輪ぬけさま(夏越祭)」と、11月23日の「秋の大祭・おなばれ」です。
この記事では、輪ぬけさま(夏越の祓)がどんな行事なのか、秋の大祭「おなばれ」がどのように行われているのか、観光・移住目線でどう関わるとよいかを、いの町の暮らしに寄せて紹介します。

輪ぬけさま(夏越祭)とは
半年分の“つかれ”を落とす日
輪ぬけさまは、全国の神社で行われている「夏越の祓(なごしのはらえ)」にあたる行事で、椙本神社では6月30日に執り行われます。
一年の折り返しにあたるこの日に、茅(ちがや)で編んだ大きな輪「茅の輪」が参道に設けられ、人々はその輪をくぐって、半年間の穢れや知らず知らずのうちにたまった厄を祓い、残り半年を無病息災で過ごせるよう祈ります。
高知ではこの行事を親しみを込めて「輪ぬけさま」「輪抜け様」と呼び、子どもから大人まで気軽に参加できる“夏の入り口”の風物詩になっています。
どんなふうにお参りするか
当日、椙本神社の参道には丸く組まれた茅の輪が立ち、その前に案内が出ます。参拝者はゆっくりと輪をくぐりながら、残り半年の健康や家族の安全を願います。
やり方自体は難しいものではありませんが、一般的には、
- 輪をくぐる前に軽く一礼する
- 左・右・左と、8の字を描くように三度くぐる
- そのあとで拝殿に進み、ふだん通り二礼二拍手一礼でお参り
といった流れが多く、椙本神社に来るのが初めての人でも、前の人を見ながら自然と参加できます。
夏まつりとの組み合わせ
椙本神社では、6月下旬ごろに「夏まつり」も行われ、輪ぬけさまの時期は境内が少しにぎやかになります。
地元の子どもたちにとっては、
- 昼間に家族で輪ぬけさまへ
- 夕方から夜にかけて屋台や出店をのぞく
という、夏休み前のちょっとした楽しみになっており、“お祭り”と“お祓い”がセットになった一日として定着しています。
秋の大祭「おなばれ」とは
日程と全体像
秋の大祭は、毎年11月23日に行われる椙本神社の大きな行事で、いの町民俗文化財(無形)に指定されています。
前日の22日には、当屋(とうや)の家で行われる「お葉毛立(おはけたて)」や、古式にのっとった宵祭が行われ、大祭当日は、神輿と行列が町を進む「御神幸祭」、いわゆる「おなばれ」がクライマックスになります。
おなばれの行列は、総勢200人規模ともいわれ、鎌倉時代作・国指定重要文化財「八角形漆塗御輿」のレプリカを中心に、獅子舞、天狗、稚児行列などが続きます。その優雅さから、高知県の三大祭りの一つとして紹介されることも多いお祭りです。
「おなばれ」の意味
「おなばれ」は、高知周辺で使われる言葉で、神さまが神社から外へ出て町を巡る「御神幸(ごしんこう)」を指します。
語源については諸説あり、しめ縄を張る「縄張り」から来たという説や、古語の「ナバル(隠れる)」に由来するという説などが語られていますが、いずれにしても「神さまが地域の中を歩き、人々の暮らしを見巡る日」という意味合いが込められています。
椙本神社のおなばれは、奈良時代までさかのぼる古い祭祀の流れを引き継いだものとされ、いの町の人にとって“代々続く大切な行事”という位置付けです。
秋の大祭当日の流れ
時刻は年によって多少変わりますが、近年のスケジュール例をもとにすると、だいたい次のような流れになります。
- 昼すぎ:椙本神社で大祭の神事
- 午後:おなばれの行列が神社を出発(獅子舞・天狗・稚児・御輿など)
- 仁淀川桜堤公園の御旅所に到着し、舞や神事、餅まきなどが行われる
- 夕方前:行列が再び神社へ戻り、祭りが締めくくられる
御旅所となる桜堤公園では、朝日舞や乙女舞、浦安の舞、獅子舞などが奉納され、青空の下で色とりどりの衣装や御輿が並ぶ光景は、まさに「古典絵巻」といった雰囲気です。
観光・移住目線での楽しみ方
輪ぬけさまの日にできること
輪ぬけさまは、派手なイベントというより、落ち着いた雰囲気の中で一人ひとりが静かに輪をくぐる行事です。
観光で訪れるなら、
- 昼間に輪ぬけさまでお参り
- その足で紙の博物館や商店街を散策
- 夕方から始まる夏まつりのにぎわいに立ち寄る
といった流れで、「静けさ」と「お祭りらしさ」の両方を味わうことができます。移住検討中の人にとっては、子ども連れの家族や近所同士で談笑する様子など、リアルないの町の人間関係を垣間見るチャンスでもあります。
秋の大祭で注目したいポイント
秋の大祭・おなばれの日は、いの町全体が少し特別な空気になります。
- 神社から御旅所へ向かう行列を、商店街や路地から眺める
- 桜堤公園で、舞や獅子舞を近くで見学する
- 戻りの行列を追いながら、写真や動画に収める
といった楽しみ方ができます。
いの町観光ガイドでは、この秋の大祭と同じ日に「いの博覧会」が開催される年もあり、紙の博物館の夜間開館やKami祭、生姜焼き街道、図書館イベントなど、町じゅうで企画が組まれることもあります。


その年ごとの情報をチェックして、「午前〜昼:椙本神社の大祭」「午後〜夕方:御旅所といの博覧会」というふうに回ると、一日でいの町の文化をぎゅっと体験できます。
まとめ|一年の“節目”が見える椙本神社の行事
参加するときのマナーと注意点
輪ぬけさま・秋の大祭のどちらも、観光イベントである前に“神事”です。
- 茅の輪や御輿には、むやみに触れない
- 行列の進路をふさがないように見学する
- 写真撮影は、周囲の人や神事の進行の妨げにならないようにする
また、秋の大祭は11月下旬で日が短く、夜は冷え込むことも多いため、暖かい服装がおすすめです。輪ぬけさまの時期は梅雨どきでもあるので、天候次第で足元が滑りやすくなることも想定しておくと安心です。
椙本神社の輪ぬけさまと秋の大祭は、
- 6月30日に半年の穢れを祓う「輪ぬけさま(夏越祭)」
- 11月23日に豊作と福を祈る「秋の大祭・おなばれ」
というかたちで、いの町の一年を穏やかに区切ってくれる行事です。
観光客にとっては、ただ参拝するだけでは見えにくい、「まちのリズム」や「人と神社の距離感」を体感できる貴重な機会。移住を考える人にとっては、地域コミュニティの雰囲気を知る具体的な場にもなります。