【全域】いの町生活満足度調査から見る「住みやすさ」
高知市の西隣に位置し、仁淀川と山あいの集落を抱えるいの町。「暮らしやすさ」は数字で見るとどうなのか――いの町が行った住民アンケート(住民意向・生活実態調査)や、民間の居住満足度調査の結果を手がかりに、いの町の住みやすさを整理してみます。
いの町の暮らしを測る2つのデータ
1.いの町「住民意向・生活実態」調査
いの町では令和6年度、町内2,000世帯の世帯主を対象にアンケートを実施し、637件(回収率31.9%)の回答を得ています。世帯構成や職業だけでなく、「今後も住み続けたいか」「暮らしの良いところ・不満なところ」「いの町らしさ」など、生活満足度に直結する項目が幅広く聞かれています。
この記事では、この調査のうち「居住継続意向」「良いところ/不満なところ」「いの町らしさ」に注目します。
2.民間の「街の住みここち・幸福度」調査
大東建託「いい部屋ネット 街の住みここちランキング<高知県版>」では、いの町は2022年に3年連続1位、2023年は2位、2024年には再び1位という高評価(2025年は3位)を得ています。

同じく「街の幸福度ランキング<高知県版>」では、2022年に2年連続1位、2023年は2位、2024年の最新版では「街の幸福度」3位・「住み続けたい街」でも上位にランクインしています。


町内アンケートと外部の調査、両方で高く評価されていることが、いの町の「住みやすさ」を裏付けています。
住民意向調査が映す「暮らしへの満足」と課題
1.「今の場所に住み続けたい」が6割前後
防災に関する設問の一つとして、「ハザードエリアとの関係を踏まえて今後どこに住みたいか」が聞かれています。
- 「今の場所に住み続けたい」…60.3%
- 「町内の安全な場所に引っ越したい」…12.8%
- 「町外の安全な場所に引っ越したい」…3.8%
と、6割以上が「今の場所に住み続けたい」と回答しています。(※地域別意向調査結果 より)
防災というやや厳しい前提の質問であっても、「今の暮らしを大きく変えたくない」という人が多いことから、生活環境そのものへの基本的な満足感がうかがえます。
2.「住み続けたい理由」に表れる暮らしの魅力
「今の場所に住み続けたい理由」を複数回答で尋ねた項目では、次のような結果が出ています。
- 永く住んでいて愛着がある……53.8%
- 現在の住宅環境に満足している……41.3%
- 自然環境がよい……28.8%
- 交通利便性がよい……27.5%
- 先祖代々受け継いだ土地である……25.0%
- 知人・友人が近くに住んでいる……16.3%
- 親が近くに住んでいる……15.0%
ここから見えてくるポイントは3つです。
- 「愛着」と「歴史」が支える定住意向
半数以上が「永く住んでいて愛着がある」と答えており、先祖から受け継いだ土地や人とのつながりも含めて、「ここに住み続けたい」という気持ちが形成されています。 - 住宅環境への満足度が高い
「現在の住宅環境に満足している」が4割超と高く、家そのもの・周辺環境を含めた住まいの心地よさが、生活満足度を支える土台になっています。 - 自然環境と交通アクセスの両立
「自然環境がよい」と同時に「交通利便性がよい」も上位に入っているのが、いの町ならではの特徴です。仁淀川や山々の自然に囲まれながらも、高知市中心部へは車や路面電車でアクセスしやすい――この「都会にも田舎にも近い」バランスが、住民に評価されています。
3.「引っ越したい理由」に表れる生活課題
一方で、「今の場所から引っ越したい理由」として挙がったのは次のような項目です。
- 交通利便性が悪い……79.3%
- 買い物施設が十分に整っていない……57.7%
- 病院や診療所が十分に整っていない……31.1%
- 現在の住宅環境に不満がある……22.6%
- 趣味やスポーツが楽しめる場所が整っていない……17.0%
中心部では「交通利便性がよい」が評価される一方、山間部や集落では「交通利便性が悪い」が圧倒的な不満要因になっていると考えられます。
特に
- 自家用車に頼らざるをえない移動手段
- スーパー・ドラッグストアなど日常の買い物先の少なさ
- 通院先が限られることへの不安
といった点は、生活満足度を大きく左右する要素です。
アンケート結果は、「いの町の暮らしは総じて満足度が高いが、エリアによっては移動・買い物・医療アクセスが課題」という構図をはっきり示しています。
住民が感じる「いの町らしさ」とは?
調査では「いの町らしい暮らし方」や「いの町の魅力」に当てはまるものも選んでもらっています。その結果、住民が強くイメージしている「いの町らしさ」は次のようなものです。いの町公式サイト
- 自然が豊かであること(仁淀川・寒風山・瓶ヶ森・程野の滝など)……73.0%
- 治安が良く、穏やかな暮らしができるまちであること……63.7%
- 土佐和紙、本川神楽、八代農村歌舞伎などの伝統文化があること……47.3%
- いの大国さま、仁淀川紙のこいのぼり、仁淀川祭りなど地域のお祭りがあること……47.0%
- キャンプ・SUP・カヌー・ラフティングなどアウトドアスポーツが楽しめること……40%台
- にこ淵、UFOライン、沈下橋などの観光名所があること……40%台
数字から見えるのは、
- 「自然」と「安心して暮らせる治安」
- 「伝統文化・お祭り」といった地域の歴史
- 「アウトドア」と「観光資源」
といった要素が、いの町のブランドイメージを形づくっているということです。
単なるベッドタウンではなく、「自然と文化を背景に、ほどよく都会に近い暮らし」が住民自身にも強く意識されています。
外部調査が裏付ける「住みここち」の高さ
1.街の住みここちランキングで県内トップクラス
大東建託の「街の住みここちランキング<高知県版>」では、
- 2022年:いの町が3年連続で1位
- 2023年:1位高知市、2位いの町
- 2024年:再びいの町が1位
という結果が出ています。
この調査は、県内居住者を対象にした大規模ウェブアンケートで、「治安」「自然・環境」「交通の便」「生活利便性」など複数の指標を総合して「住みここち」を算出したものです。

町内の住民アンケートだけでなく、県全体の中で見ても「いの町に住んでいる人は暮らしに満足している」という傾向が見て取れます。
2.街の幸福度ランキングでも上位常連
同じく大東建託が行う「街の幸福度ランキング<高知県版>」では、
- 2022年:いの町が2年連続1位
- 2023年:幸福度2位(「住み続けたい街」「街に誇りがある」で1位)
- 2024年:幸福度3位ながら、「住みここち1位」「住み続けたい街」でも上位を維持
と、こちらもトップクラスの評価が続いています。
「住みここち」と「幸福度」は別の指標ですが、どちらも高いということは、物理的な暮らしやすさ(家・交通・買い物など)と心理的な満足感(誇り・愛着・将来も住み続けたいか)の両方がバランスよく満たされていることを意味します。
データから見えてくる、いの町の「強み」と「これから」
強み:自然・安心・アクセスのバランス
住民意向調査と外部のランキングを総合すると、いの町の強みは次の3点に集約できます。
- 自然環境と景観
仁淀川の「仁淀ブルー」、山の稜線、棚田や集落景観など、「自然が豊かで美しい」という評価が圧倒的です。 - 治安とコミュニティの安心感
「穏やかな暮らし」「治安の良さ」「地元コミュニティのつながり」が、生活の安心感と幸福感を支えています。 - 高知市へのアクセスの良さ
高知市に隣接する立地、JR・路面電車・国道などの幹線交通により、通勤・通学・買い物の利便性が高いことも評価されています。
課題:エリア格差をどう埋めるか
一方で課題としては、エリアによる生活条件の差があることです。
- 山間部では「交通利便性」「買い物・医療のアクセス」への不満がある
- 高齢化が進み、自家用車に頼りにくくなる世帯が増えている
- 空き家・空き地、防災リスクへの不安も指摘されている
こうした課題に対しては、
- コミュニティバスや有償運送運転などの充実
- 移動販売・宅配サービスの活用
- 空き家の利活用、集落単位での見守りネットワークづくり
など、「山間部でも都市部に近い安心感をどう届けるか」に関していの町も努力を行っています。
おわりに:数字の向こう側にある、暮らしの実感

アンケートの数字だけを見ると、「愛着」「自然環境」「治安」「アクセスの良さ」が、いの町の住みやすさを支える4本柱だとわかります。
ただ、その背景には
- 朝、仁淀川沿いを歩くときの空気の清々しさ
- 祭りで顔を合わせるご近所さんとの関係
- 高知市に仕事に通いながら、休日は川辺や山で過ごす暮らし
といった、日々の小さな実感があります。